今回は、LPC-LINK2の使い方をご紹介します。
LPC-LINK2は、デバッグプローブになる非常に便利なツールです。また、コストも抑えられて一石二鳥。ただし、NXPのMCUを評価、開発のみ使用が可能なライセンスです。
そんなLPC-LINK2を購入したけど、使い方が分からないと言った人は是非参考にして下さい。
コンテンツ
1.開発ボードとして使う場合
LPC-LINK2ボードには、LPC4370と言うMCUが搭載されています。したがって、LPC43xxシリーズのMCUを評価、開発目的のために使用することができます。
必要十分なヘッダピンもあり、非常にコンパクトな開発ボードとして使用することが可能です。
LPC4370ブロック図

LPC4370の特徴
トリプルコア
LPC4370は、MCUでは珍しいデュアルコアならぬトリプルコアです。Cortex-M4F、Cortex-M0 x2のデュアルコアになっており、最大204MHzと非常に高いクロックまで動作可能で処理能力も申し分ありません。
比較的負荷が低く、定期的に処理するような場合にはCortex-M0が向いていて、負荷が大きい処理には素早く処理することができるCortex-M4Fに処理させることができます。
Cortex-M0コアは2つ搭載されており、メインコアであるCortex-M4Fの処理をオフロードする目的で、一つはアプリケーションの実行に使用できます。そしてもう一つは、ペリフェラル(SGPIOやSPI)の制御に使用できます。
HS-USB x2
HS-USB(480MHz)のUSBインタフェースを2本持っています。
なんと80MsysものハイスピードADC
なんと80MsysものスピードのADCを搭載しています。通常、1Msysものスピードも無いADCが普通ですが、それがなんと80Msysです!なんて高速なんでしょう。
LPC-LINK2ボードは、拡張ボードを付けることで、Embedded artist社からリリースされているLab-toolと言う簡易オシロスコープとして使えちゃいます。
今度ご紹介しますね。
ソフトウェア開発キット
LPC-LINK2を使用した開発には、LPCOpenでサポートしているようです。
LPCOpenはこちらから→LPCOpen libraries
開発環境
LPC-LINK2の統合開発環境は、NXPのフリーな開発環境MCUXpresso IDEが使用できます。MCUXpresso IDEは、コードサイズの制限もなく、完全無償で使用できる開発環境です。
この開発環境に上記LPCOpenのプロジェクトをインポートすることで、使用可能になります。
MCUXpresso IDEは、こちらから→MCUXpresso IDE
2.デバッグプローブとして使う場合
LPC-LINK2は、 デバッグの際に必要になるデバッグプローブとして使用することができます。
LPC-LINK2ボードをCMSIS-DAPとして使う
ARM社が規格化したCMSISインタフェースのうちの1つ、デバッグインタフェースとして定めたもの。CMSIS-DAP(デバッグアクセスポート)を使用することで、様々なIDEでデバッグインタフェースとして使用することができます。
CMSIS-DAPを使うと、MCUXpresso IDEで消費電力をダイナミックに測定できる機能が使えます。
参考: 超便利!MCUXpresso IDEでパワーデバック!簡単に消費電流が測定できる
書き換えかたは、後述するデバッグプローブファームウェアを書き換える方で説明します。
LPC-LINK2をJ-LINKとして使う
Segger社のJ-Link として使用することもできます。CMSIS-DAPよりサクサク動作する印象なので私はいつもJ-LINKを使用してデバッグしています。ただし、MCUXpresso IDEで消費電力を測定できる機能は使えません。
デバッグプローブファームウェアを書き換える方法
1.LPCScryptをダウンロードする こちらから→LPCScrypt
2.指示に従ってインストールする
3.Windowsの場合には、LINK2 USBドライバーが必要です。こちらからダウンロードできます。→LPC-LINK2 USBドライバーパッケージ
3.LPC-LINK2のJP1を外す
4.PCにUSBで接続。
5.アプリケーションLPCScryptフォルダ/Scryptsフォルダ内にあるスクリプトコマンドを実行する、1)CMSIS-DAP、2)J-LINKを選んで書き換える
6.JP1を元に戻す
以上で書き換えは終わりです。
非常に簡単にデバッグプローブファームウェアを書き換えることができますので、お試しください。